AT変速ショック 内部洗浄フルード交換4万円 2019年5月

「オートマの変速ショックが気になりだした」とご相談いただきました。

点検させて頂くと、新車から7万キロ走行で一度もオートマフルードを交換されていない事が分かりました。


変速ショックは、オートマミッションの変速制御がスムーズに作動していない事が原因です。

オートマミッションはフルードと呼ばれるオイルで作動しています。

乗れば乗るだけフルードは劣化します。

劣化するとエンジンのパワーを伝える効率が落ちたり、汚れが酷くなったフルードが制御装置の油路で目詰まりを起こすのです。

油路は爪楊枝の先ほど 精密に加工されたフルードの通り路です 赤い矢印はストレーナです。油路とは関係ありません

更にフルードを交換せず乗り続けると、オートマ下部にあるオイルパンにフルードの「泥状の汚れ成分」が堆積してきます。

これを「スラッジ」と言います。

※「スラッジ」は直訳すると「泥」

※「オイルパン」はオートマ下部のオイル溜まり

シルバーの弁当箱みたいなのがオートマミッションのオイルパンです。

オートマチックフルードの交換は、通常2〜4万キロ毎なのですが、今回の様に長期間フルード交換していない車は、このスラッジの量が多いのです。

この状態で通常のフルード交換をすると、溜まっていたスラッジがフルードと一緒に機械装置の中を循環してしまうのです。

その結果、作動を制御する為の油路がスラッジで目詰まりを起こすのです。

これが、長期間交換していない車のオートマチックフルードを交換すると調子が悪くなったり、壊れたりすると言われる所以です。変速ショックの症状は、言わばこれの初期症状なのです。

今回は通常のフルード交換では無く、内部洗浄を併せて行う言わば念入りな方法です。

さて、作業です。

1)オートマ内の汚れを洗浄します。リフトアップしてエンジンをかけ、洗浄剤を入れます。P・R ・D・2・L各レンジで2時間ずつ回します。これだけで1日かかります。こうやって内部に堆積、付着した汚れや、各レンジの制御系油路の汚れも溶かしてしまうのです。

2)オイルパンからフルードを抜きます。濃く濁ったフルードが出てきました。

元の色は透き通った赤 カキ氷のイチゴシロップみたいな色です。

3)オイルパンを外して洗浄します。スラッジや金属破片が溜まっています。

ドロっとしたスラッジと、磁石が金属ゴミを吸着しています。

4)ストレーナーを交換します。ストレーナと言うのはフィルタのことです。フルードの不純物を濾す装置です。

赤い矢印で示したのがストレーナーです。エンジンオイルのフィルタと違って、金属の網でゴミを濾します。

5)ガスケットを新しく塗り、オイルパンを取り付けます。

オイルパン取り付け中です。

6)新しいフルードは専用の機械で圧送します。排出されるフルードはモニタリング出来るので、綺麗になるまで続けます。規定量は6リットル程ですが、15リットルくらいのフルードを使用します。

7)オートマミッション内部の劣化を防ぐトリートメントを添加します。

8)一度走行した後、オートマミッションのレベルゲージを見ながら油量を適正レベルに調整します。

変速ショックはなくなりました。フルードが新しくなったので燃費も向上する筈です。

「大事に乗りたい」に応えたい

いつものくるま屋 山本自動車工業

この記事を書いた人

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山本 宰士

山本自動車工業株式会社 代表取締役

広島県神石高原町のくるま屋です。