「オートマの変速ショックが気になりだした」とご相談いただきました。
点検させて頂くと、新車から7万キロ走行で一度もオートマフルードを交換されていない事が分かりました。
変速ショックは、オートマミッションの変速制御がスムーズに作動していない事が原因です。
オートマミッションはフルードと呼ばれるオイルで作動しています。
乗れば乗るだけフルードは劣化します。
劣化するとエンジンのパワーを伝える効率が落ちたり、汚れが酷くなったフルードが制御装置の油路で目詰まりを起こすのです。
更にフルードを交換せず乗り続けると、オートマ下部にあるオイルパンにフルードの「泥状の汚れ成分」が堆積してきます。
これを「スラッジ」と言います。
※「スラッジ」は直訳すると「泥」
※「オイルパン」はオートマ下部のオイル溜まり
オートマチックフルードの交換は、通常2〜4万キロ毎なのですが、今回の様に長期間フルード交換していない車は、このスラッジの量が多いのです。
この状態で通常のフルード交換をすると、溜まっていたスラッジがフルードと一緒に機械装置の中を循環してしまうのです。
その結果、作動を制御する為の油路がスラッジで目詰まりを起こすのです。
これが、長期間交換していない車のオートマチックフルードを交換すると調子が悪くなったり、壊れたりすると言われる所以です。変速ショックの症状は、言わばこれの初期症状なのです。
今回は通常のフルード交換では無く、内部洗浄を併せて行う言わば念入りな方法です。
さて、作業です。
1)オートマ内の汚れを洗浄します。リフトアップしてエンジンをかけ、洗浄剤を入れます。P・R ・D・2・L各レンジで2時間ずつ回します。これだけで1日かかります。こうやって内部に堆積、付着した汚れや、各レンジの制御系油路の汚れも溶かしてしまうのです。
2)オイルパンからフルードを抜きます。濃く濁ったフルードが出てきました。
3)オイルパンを外して洗浄します。スラッジや金属破片が溜まっています。
4)ストレーナーを交換します。ストレーナと言うのはフィルタのことです。フルードの不純物を濾す装置です。
5)ガスケットを新しく塗り、オイルパンを取り付けます。
6)新しいフルードは専用の機械で圧送します。排出されるフルードはモニタリング出来るので、綺麗になるまで続けます。規定量は6リットル程ですが、15リットルくらいのフルードを使用します。
7)オートマミッション内部の劣化を防ぐトリートメントを添加します。
8)一度走行した後、オートマミッションのレベルゲージを見ながら油量を適正レベルに調整します。
変速ショックはなくなりました。フルードが新しくなったので燃費も向上する筈です。
「大事に乗りたい」に応えたい