ヒーターをかけると「チリチリ」と嫌な音がするので診て欲しい、とご依頼を頂きました。
先ずは診断です。
診断は音の出どころを見つける事からです。
どうやらグローブボックスの奥の様です。グローブボックスと言うのは、助手席前にある車検証などをしまう物入れの事です。
グローブボックスを外してみると、音はブロワー付近から出ています。
ブロワーと言うのは、風を送るファンの事です。
ブロワーファンの構造。
一般にファンと言えば、換気扇や扇風機の様に3枚か4枚のプロペラが回るものを想像します。
ところがこのファンは違います。
このファンは円筒形です。円周に小さな羽根が、縦方向に沢山配置されています。羽根(円筒形)が回転すると、円筒内側の空気が外側に遠心力で吐き出される仕組みです。エアコンの室内機なんかと同じです。
すみません。分かりにくいですね。
ヒーターをかけると音がする。良くある事例。
ヒーターをかけると音がするので、この円筒形状のファンの中に、何か異物が入っているに違いないと考えました。
ここに異物が入り込む事は時々あります。そしてその異物がファンに当たるのです。
異物が入る原因は大きく2つです。
ひとつはフロントガラスの曇り止めの風が出る穴から、何かが落ちる場合。
もう一つは小鳥やネズミが何かを持って入る事です。巣作りをしようとするんですね。出てくるのはパンのビニール袋とか、藁、枯れ草などです。
意外かも知れませんが、後者の方が多いです。
余談 駐車中は内気循環にしておいた方が良い。
空調の内外気の切り替えが外気導入になったままだと、小動物が何かを持ち込むのです。駐車中は内気循環にしておいた方が良いです。入って来れませんので。
ブロワーを取り外す。結構大変です。
さて、音の出所はブロワーで間違い無さそうです。音は異物のせいだと判断。取り外します。
グローブボックスの奥にあるブロワーを外そうとするとどう見てもフレームが邪魔です。まさかコイツを外すのか、と、念の為WEBマニュアルを確認。
そのまさかでした。
しかもこのフレームを外すにはダッシュボードもゴッソリ外さなければなりません。
まあまあ大きな作業です。
原因は特定出来ていませんが、予測される作業から、お見積もりをお伝えし修理を進めます。
原因は異物では無く、モーター自体の不良によるものでした。
ダッシュボードを外し、邪魔になっていたフレームを外し、無事ブロワーを取り外しました。
ブロワーを点検すると中に異物は有りません。作動させてみると、「チリチリ」と言う嫌な音はモーターそのものから出ている事が分かりました。
モーターの寿命です。
モーターの値段を調べ、作業料金と合わせ、改めてお見積もりを作成。お客様にご了解を頂いて修理をさせて頂きました。