点検で大事に至る前に発見出来ました。頻度の低いドライブシャフトインナーブーツの交換です。
インナーブーツを交換する事は少ない
通常ドライブシャフトブーツの交換が必要になるのは、ブーツが破れた時です。そして破れるのは大抵が動きが大きく傷みの早いアウター側です。
ところが今回交換するのはやや珍しいインナー側です。
ドライブシャフトブーツって何
ドライブシャフトというのは、タイヤを回転させる為にミッションから、タイヤが取り付けられているホイールハブをつないでいるシャフトです。
直線の一本の棒では無く、途中の2箇所が自由に首を振る構造になっています。人間で言えば関節の役割と言えば分かりますでしょうか。
ミッションからホイールハブまでは水平ではないし、タイヤは路面の凸凹に応じて上下したり、加速や減速のたびに前後にも動くからです。
箇所2箇所と書きましたが、ミッションから出て直ぐの所と、もう1箇所はホイールハブ側です。双方とも特殊な構造のベアリングが使用されています。
前者がインナーベアリング側後者がアウターベアリングと言います。
そのベアリングの潤滑にはグリースが使われているのですが、これを封入しているのがジャバラ状のドライブシャフトブーツです。
原因と修理方法の選択肢
今回のインナーブーツは、破れたのではなくグリスの漏れを確認したからです。
定期点検で発見できたのですが、写真の様にインナーブーツの端から漏れています。
熱で劣化軟化して漏れることも有りますが今回は水の混入が原因と思われます。
ブーツ素材のゴムが劣化して隙間から水が混入するのでは無いかと思います。この場合修理方法は3つ有ります。
- ハブを取り外しシャフトを抜いてブーツを交換する。シャフトを抜くのでインナー側のスプラインにグリスの塗布が出来ます。これが一番正規の方法です。
- シャフトを取り外すと費用も時間もかかるので、シャフトを抜かずにブーツを交換する方法。半分に割れた状態の分割タイプのブーツを使います。
- ブーツ内にグリスは残っているので、漏れている箇所のバンドを取り替え締め直す方法です。これは近々車を変えるかも知れないなど、とにかく費用をかけたくない方に向いた方法です。応急的修理です。
弊社では分割タイプのブーツが出回りだしてからも、暫くの間は常に1の方法を取っていました。それが車にとっては一番良い方法と考えていたからです。ところが価格を比較されたお客様から、何故こんなに高いのかとご指摘を頂いた事があるのです。その時上手く説明が出来なかったのはほろ苦い経験です。
現在は2の方法を標準としてお勧めしています。今回のお客様にも説明させて頂き、2の方法で修理をさせて頂きました。
ギャラリー
ハサミでカットするとバシャっと水の混入したグリスが出て来ました。
取り外したブーツ
普段はブーツに覆われているベアリングを清掃します。
写真は撮りませんでしたが、綺麗になったベアリングに新しいグリスを封入しました。
神石高原町はアップダウンが多いので、車の傷みも進み易く、車を大事に長く乗るには点検は特に大切です。
今回のケースでは、そのまま乗り続けるとベアリングが破損し危険です。ベアリングが破損すると大きな音がしだして気づく事が多いのです。こうなるとシャフトごと交換になりますので修理代が嵩みます。
リフトに上げて行う目視点検は費用が掛かりません。気になる事はお気軽にご相談下さい。
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