今回のご依頼はエンジンチェックランプの点灯です。チェックランプと言うのは、スピードメーターの中にあるエンジンの形をした何らかの異常を知らせるランプです。
このランプはエンジン制御のために、各センサーから異常な信号が送られた場合に点灯します。
診断開始です。
エンジン出力制御の基本は、流入空気量に応じて燃料噴射時間を調整して燃料噴射量を制御する事です。
先ずは診断機を接続し、コンピュータが受けた故障コードを読み取ります。
燃料が薄いと言う信号がコンピュータに送られた事がわかります。
今回の故障診断は、この信号を送った原因が何かを突き止める事です。
先ずはO2センサーから
この信号を送ったのはO2センサーです。燃焼後の排気に含まれる酸素の濃さを電気信号に変えてコンピュータに送っています。
診断機をパソコンに接続して、オシロスコープでも確認します。
薄いと判断するとそれを補整する様に燃料が増量されます。
増量されると今度は濃いと言う信号が送られるので、薄い濃いが交互に繰り返されています。
これだけで故障箇所が判るわけではありません。
先ずはそもそも薄いと判断したO2センサーが正常なのかどうかを確かめます。
可燃性のスプレーを吸入空気に少量含ませます。
赤の矢印の様に即座に濃いと言う信号を送っています。この事からO2センサーは異常が無いと判断出来ます。
診断結果はエアフロメーターの故障
次は吸入空気量を測定しているエアフロセンサーの作動確認です。
これは部品単体を物理的に点検するのでは無く、アイドル状態でスキャンツールが示す吸入空気量と基準値を比較する事で行います。
正常値と比較して明らかに低い値です。
つまりエアフロメーターが吸入空気量が少ないと言う判断をしている事が分かります。本当は空気は少なく無いのにです。
空気は少なく無いのに燃料が減らされるため、O2センサーが薄いと信号を出したのです。
更に、空気の吸入経路の何処かに穴が空いていたり、ホースの外れが無いかも確認します。
そこから空気を吸っても同じ状況になるからです。
これを確認したうえで、原因はエアフロメーターの故障と判断出来ます。
ここまでの診断費用と部品代、交換工賃の合計が23,000とお伝えし、ご了解を頂いたので部品を発注して交換させて頂きました。
交換後、値を再確認。今度は正常値です。
私達が大切にしている事
私達は工場の仕事で、修理や整備の作業以外に、目には見えないけれど大切にしている事が3つ有ります。
- 予想される故障原因を検証をして、その裏付けを取る。つまり予測と経験だけで修理箇所を判断しない。
- いくら費用がかかるのか必ずお伝えする事。そして可能なら2つ以上の選択肢を以って修理の方法を選んで頂く。修理の方法や直すかどうかも含めて、最終的にお客様自身にお決め頂くと言う考え方です。
- 2.の為の情報を分かり易く提供する。
お客様ご自身の事はご自身が決める。満足以前にご納得頂く。真のお客様満足はそこから始まると思うのです。