アイドリングが不安定で信号待ちでエンストしたとご相談です。ボンネットを開けてエンジンルーム全体を眺めるとオイル漏れが確認出来ます。申し上げ難いのですが、オイル管理の悪さが伺えます。
先ずはスキャンツールで確認。
スキャンツールは日本語で言うと診断機です。
スキャンツールは様々な目的で使用されますが、今回はコンピュータに記録された故障コードを確認するのに使用します。
エンジンの制御は燃料の噴射量によって決まります。そして燃料の噴射量は、吸入空気量やエンジン回転数、水温、etcで決まります。
こう言った情報は各部のセンサーが感知し、コンピューターに送られます。
故障コードと言うのは、これらのセンサーの異常をコンピューターに記録したものです。
今回は特にエラーは記録されていませんでした。
アイドルスピードコントロールバルブを疑う。
エンジン制御の流れを超簡単に言うとこうです。
- センサーが情報を集めコンピュータに送る。
- コンピュータが情報に応じて燃料噴射装置や吸入空気量を調整。
- エンジンの状態が変わる。
- 1に戻る。
1から4をほんの僅かな間に繰り返しているのです。
1のセンサー類に異常がない場合、2の装置の動きに異常があるという事になります。
今回はアイドリング時の空気量を微調整する、アイドルスピードコントロールバルブ(ISCV)の作動不良を疑いました。
お見積もりと修理の手順をご了解頂きます。
まず、疑わしいISCVを分解します。
ここに燃料の燃えかすのカーボンが堆積しやすからです。
分解するとカーボンがたっぷり溜まっていました。
修理はISCVに堆積したカーボンの除去とスロットルボデー内部の清掃です。
スロットルボデー内部と言うのは空気の通り道の事です。ここは目に見えない汚れが付着するのです。
お見積りと併せ、修理手順をお客様に説明させて頂きました。
修理状況。
修理状況です。
スロットルボデー全体が滲み出たオイルで汚れています。
ISCVはスロットルボデーに取り付けられています。
ISCV単体にして清掃します。
カーボンがいっぱい取れました。
スロットルボデー清掃で注意する事。
スロットルボデー内部の清掃と書きましたが、これはプロでもかなり慎重に行うところです。
ここは空気の通り道なのですが、見た目には分からない特殊なコーティングが施されています。
このコーティングはデリケートで、パーツクリーナーなどで拭いただけで剥がれてしまいます。
ほんのコンマ数ミリの違いですが、アイドリング状態では吸入空気量に影響し不具合が出るので要注意なのです。
清掃には専用のクリーナーが必要です。
関連箇所も整備しました。
そのほか関連箇所の整備を2つご了解頂いていたので実施します。PCVバルブの交換とヘッドカバーガスケットの交換です。
PCVバルブ交換。
PCVバルブと言うのは、エンジン内の圧力を安定させる装置です。近い将来詰まりが出そうなので交換をお勧めしました。価格は1,000円程度です。
ヘッドカバーガスケット交換。
もう一つのヘッドカバーガスケットと言うのは、エンジン最上部の蓋から、オイルが漏れない様にする為の、ゴム質の部品です。
エンジン内部が見えていますが、全体的に茶色っぽくなってるのが判りますか。
オイル管理が悪いと、エンジン内部に燃料の燃えカスが少しづつ溜まって来ます。
塊になりかけたものは、泥の様なのでスラッジと呼びます。スラッジは直訳すると泥です。
エンジン不調の原因はオイル交換不足。
今回のエンジン不調の原因は、元を辿ればずさんなオイル管理です。
エンジンの中でガソリンの燃えカス(スス)は、エンジンオイルによって洗い流されています。
軽四でしたら、2リットルほどのオイルがエンジンの中を循環しているのです。
オイル交換をしないと言う事は、雑巾を繰り返し洗うのに、汚れた水を替えないのと同じ事です。
エンジンは人間の体の様に、不純物を排出する自浄の仕組みはありません。定期的なエンジンオイル交換が必要なのはこの為なのです。
オイル交換を怠ると、燃えかすがエンジン内にヘドロ状に溜まって様々な不具合を引き起こしてしまいます。
今回の不具合は、定期的なエンジンオイル交換で防げたものなのです。
修理は完了。
かかった費用は23,000円でした。
納車数日後に調子伺いをさせて頂きます。
くるまの健康を守る為 定期的なオイル交換は神石高原町で