エンジン点検  スパークプラグの経済的交換時期  2019年6月

スパークプラグの点検と交換時期について社内研修中です。

外部電極を凝視しています。

研修と言っても15分ほどです。

工場から事務所に入ると目の前にスタンドテーブルがあるので、ミーティングやショートの勉強会は立ったまま行なっています。

椅子が無いので邪魔にならないのと、椅子を引っ張り出したり入れたりする動作が無く快適です。

余談ですがテーブルは電動で昇降するタイプなので、昼食には下げて皆でテーブルを囲みます。

スパークプラグの定期交換が必要な理由

スパークプラグの火花が飛ぶところを電極と言います。電極には+の中心電極と–の外部電極があります。

電気は回路が繋がっていないと流れません。

スパークプラグは電極が離れていても、電圧が数万ボルトに達するので、流れると言うより火花になって飛ぶのです。スパークするとも言います

電極は徐々に削れて消耗します。

削れていくと電極間の隙間、プラグギャップが広がります。

こうなると火花を飛ばすのにより高い電圧が必要になります。これを※点火要求電圧が高くなると言います。

電極間の隙間が更に広がると、電極間よりもほかの飛び易いところを見つけてスパークする様になります。雷が落ち易いところを狙って落ちるのと同じ原理です。

この様な正常に火花が飛ばなくなった状態を、整備士は※2「失火している」と言う事があります。

あたかも電気が漏れている様から、「火花がリークする」とか「電気が漏れている」などと表現する事もあります。写真の様にリーク痕は目視で点検出来ます。プラグメーカーは火花が奥で飛ぶので奥火化すると表現していました。

失火するとエンジンの力が極端に落ちたり、エンジンの調子が悪いなと感じる様になります。これは燃費の悪化にも直結します。

こうならないためにスパークプラグは定期的な交換が必要なのです。

旧来からのスパークプラグも同じ様に使用されていますが、電極が長持ちして寿命の長いタイプもあります。

一般的にイリジウムプラグと呼ばれているものがそれです。長持ちする様に、電極部分にイリジウム合金を使ってあるものの総称です。

イリジウムプラグの誤解

スパークプラグの交換時期は、車のコーションラベルと呼ばれる仕様を表示したラベルに書いてあります。

大体どれも長めに書いてあります。

イリジウムプラグの場合、その表示は10万キロである事が多いのですが、これは鵜呑みにしてはいけません。

大きく分けてイリジウムプラグは構造的に2種類あります。両方の電極にイリジウムが使ってあるものと、中心電極にはあるけど、外部電極には無いものです。

尖っている部分が中心電極。エル字型に曲がっているのが外部電極です。絵の左側の赤いところは外部電極消耗している事を示しています。
レンチ選びについて。

外部電極にイリジウムチップの無いものは、消耗が早く、3万キロ代で※2失火する事もあるのです。

上のホワイトボードの絵とは左右が反対です。右側のプラグの外部電極が消耗しているのが判ります。左の外部電極はイリジウムチップが有りますが、厚さが無いのでこの角度では判別出来ません。

車の乗り方によっても寿命は違って来ます。例えば神石高原町の道の様にアップダウンが多い場合や高速走行など、エンジンにかかる負荷が高い場合は短くなります。

この場合も点火要求電圧が高くなるからです。

使用状況にもよりますが、弊社では外部電極にイリジウムチップがあるもので5万キロ、無いもので3万キロくらいでの交換をお勧めしています。

交換しないとかえって高くつく

スパークプラグに高い電圧をかける装置がイグニッションコイルです。

スパークプラグが消耗して、※点火要求電圧が高くなったまま使用を続けると、イグニッションコイルの寿命も短くなります。

スパークプラグは通常品で1本500円前後、イリジウムプラグは高い物で1本2000円前後です。

イグニッションコイルは部品代だけで1本が7,500円から高いもので20,000円位です。一般的な軽四の場合でも3本ありますので結構な金額です。

スパークプラグの定期的な交換は、経済的にも理にかなっているのです。

知っておいた方が良いこと

車検はもちろん12カ月点検でもスパークプラグの点検は義務付けられています。

ところがイリジウムプラグが使われている車では、スパークプラグの点検は法律で省略可とされています。

弊社の場合は整備履歴で直近に交換している場合を除き、取り外して目視点検を行っています。安心してご相談ください。

いつものくるま屋神石高原町 山本自動車工業

この記事を書いた人

山本 宰士

山本 宰士

山本自動車工業株式会社 代表取締役

広島県神石高原町のくるま屋です。