前記事の名古屋の帰り、新幹線に携帯電話を忘れてしまった。
間違いない。席に忘れとる。
新幹線で名古屋からの帰り、福山駅到着の2分前だと言う事に気付き慌てた。
降りる為の準備を何もしていなかったからだ。
携帯の充電器を抜き、コードをクルクルクルっと巻いてカバンの定位置に収納。
財布もカバンに入れた事を確認した。
「よし」と思った頃には、もうドアが開きそうなタイミングだった。
忙しげに降り口に駆け寄り、「ふぅ」と息をつきながら降りた。
異変に気付いたのは下りのエスカレーターの中ほどだった。
スマホを入れたつもりのスーツの左ポケットが妙に軽いのだ。
「ん、右か」と思い右のポケットを確認する。
右も軽い。
内ポケットも軽い。
「んん、これはなんかマズイ。ズボンかも。」
ズボンの両ポケットやワイシャツのポケットを、両手で忙しくあっちゃこっちゃ押さえながら確認した。探す様子は映画か何かのワンシーンの様に違いなかったと思う。
「ここにも無いかぁ」そう思ったが一縷(いちる)の望みは捨てなかった。
まあ大体、無くした無くしたと騒いだ挙句、「なんだここにあるじゃないか」って言う事はよくある。
きっとカバンに違いない。
そう思った私はエスカレーターを降りると、待合の椅子にカバンを置き、中身を確認した。
間違いない。席に忘れとる。
乗っていた新幹線の券種、号車と座席番号を覚えておくと探して貰うのが早い。
福山駅は停車が1分なので今更ホームに上がっても新幹線がいるはずは無い。
何故かここで「最後まで諦めてはダメだ」と言う今は亡き父の教えを思い出した。
だからと言う訳でも無いのだが、「そうだ、ひょっとしてあれでも」と思いホームに上がってみる事にした。
エスカレーターに乗るといろいろな事が頭をよぎる。
もし新幹線がいたとしても、車内に取りに戻ると、今度は乗り越しだ。そしたら迎えに来てる妻はどうしよう。
新幹線がいたらどうするべきなのか、と割と真剣に迷った。
心配は無用だった。
ホームに上がると、当たり前だがそこはガランとしていた。
ホーム上にある職員さん詰所で事情を説明すると、下に降りて新幹線改札のところで届出てくれと言う。
言われた通り、新幹線の改札で事情を説明。乗って来た新幹線の券種、座席番号などを伝えた。
券種とは聞き慣れませんが、新幹線の名前と号数の事で、のぞみ112号などと呼んでいるものです。
その場から新幹線車内に直接電話をしてくれた。
どうやら新幹線はトンネルの中らしく、途中で切れたのだが、私のスマホが有ったと言う事は分かった。
一安心だ。
私が乗っていた新幹線の券種、乗った号車や座席番号をハッキリ覚えていたのが役に立った。
今回は新幹線を降りて直ぐに気付いたので改札で確認出来たが、家に帰ってからだとwebでの問い合わせになる。
この時、新幹線の券種、乗った号車や座席番号を入力する必要があるのだ。これが分かっていた方が見つかり易いのは言うまでも無い。
悪いのは私。
そこからが長かった。
何処に取りに行けば良いのか、確認して貰うのにかなり手間取っているようだった。
忘れ物は終点で下ろすのだと思うのだが、それが何処に保管されるか、タイミングによって違うと言う。
やっとでハッキリしたのは新幹線を降りてかれこれ25分が経過した頃だった。
「対応が遅いなー」と思いもしたが、遅いと言う事は慣れていないという事で、慣れていないと言う事は、携帯を忘れるようなマヌケはあまりいないのだと気付いたし、そもそも悪いのは忘れた私。
職員さんに当たりたい気持ちは何処かに行った。
それよりも、娘とそんなに違わない様に見える年頃の娘さんが、この時間も忙しげに働いてる姿に感心した。
独身かな、家庭があるのかな、いづれにしても大変だな。
明日は広島に
終点が広島だったのはラッキーだった。
送って貰うか取りに行くか、迷わず翌日広島に取りに行く事にした。
私の会社は翌日が定休日だし、広島空港近くの河内辺りまで行く予定もあったからだ。
必要書類に記入して、明日朝9時以降、広島駅の忘れ物センターに行けば良い事を確認した。
新幹線を、降りてかれこれ25分が経過していた。
妻を待たせてしまいました。