推定70年以上前の「とうみ」復活させます 2019年5月

私は道具を直して使うのが好きです。買った方が安いものもありますが、気に入ってる道具は費用がかかっても直して使いたいです。

直す事にしたのでまた中に入れていました。

私の家には「とうみ」があります。

漢字では「唐箕」と書きます。豆類や麦など、収穫した穀粒を風で選別する農具です。

先日の記事で書いた千歯と同じく、多分70年くらい前のものです。母が嫁いで来た時には既に年季の入った状態だったそうです。

千歯の活躍する記事

「とうみ」には子供の頃の記憶があります。母が仕組みを教えてくれた事です。

ハンドルを回すとぶわーっと風が出て来くるところを覗いて、「うわあっ」と声を上げてはしゃいだのを憶えています。扇風機遊びみたいです。

実際に使ってるところも見たのかも知れませんが、はっきりと憶えていません。

一度は捨てようと思った。

この「とうみ」もう何十年もの長い間、雨に濡れない様に納屋に保管していました。

それでも時間と共にあちこちが朽ちます。

脚が腐ったり、しっかりしていたホッパーがいつのまにかバラバラになっていたりしました。

いつか直して使ってみたいと思っていたのですが、あまりに傷みが進んでしまいました。

そのうち納屋が手狭になりました。

「試してみたかったな」と想いながらも「仕方ない」と言う気持ちも頭をもたげ、邪魔になるので雨のかかるところに移動していました。少し心が痛みました。

半年ほど前のことでした。

やっぱり使ってみたい。使ってやりたい。

半年も雨がかかるところに置いたのですから、傷みは更に進んでしまいました。

こんなところ壊れていなかったのに。

脚は腐ってガタガタで、傾いています。

子供の頃、覗いてはしゃいだところ。羽根が見えます。

もういつ捨てるか時間の問題だったのです。

ところが、やっぱり使ってみたいと思う出来事がありました。それがつい先日の共同作業でした。

およそ70年以上前の千歯が活躍したのを見て「とうみ」も使ってやりたくなったのです。

千歯の活躍する記事

花の種を選別するにはちょうどいいのです。新しいのを買っても鉄で重いし、趣も無いし、急にこの年代物の「とうみ」が愛おしくなったのです。

直すしか無い。

元々は自分で直そうと思っていたのですが、余りに傷みが進んだので、業者さんに頼む事にしました。

頼んだのは直ぐ近所のヤマモト工芸さんです。2代目の翔平君にお願いしたところ快く引き受けてくれました。建具屋さんなので、こんな物を出すと迷惑になるかも知れないと思っていたので安心しました。

軽トラックに載せられて行くのを見て、「とうみ頑張れ。元気になって帰って来い」と思ったのでした。

さて、その顛末は如何に。

いつものくるま屋神石高原 山本自動車工業

この記事を書いた人

山本 宰士

山本 宰士

山本自動車工業株式会社 代表取締役

広島県神石高原町のくるま屋です。